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Channel: koudachinaoki
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映画『SCOOP!』を観ました。

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遅ればせながら映画『SCOOP!』観てきました。


はじめ、元フライデーカメラマンとしては、本当に戦った元軍人が戦争映画を嫌うがごとく、ホンモノがニセモノを観に行く気には全くならなかったんですが。

これまで、カメラマンを描いた映画やドラマの殆どで、カメラの構え方から身のこなし、シャッターの押し方、機種やレンズ、ストロボなどの組み合わせ、などなど、本筋でないところにアラを見つけてしまうと、それが気になって集中できず醒めてしまう、ということが繰り返されてきたので、食わず嫌いというか。

しかし、観てみるとこれがなかなか面白い。
後半はベタな作りごとで少しダレましたが、殺人犯の現場検証のシーンあたりまでは、かなり誇張はされているけれど、自分のやってきたことと較べても、それほどの差はないな、と。
取材現場や編集部の会話や小道具のあれこれは、かなり丁寧に実話を拾っていると感じました。
観ているうち、自分が福山雅治になって現場に出ているような、変な気分になりました。

記者が張込み写真の画面にうっかり入ってしまい、激怒した経験は私にも三度あり、恥ずかしながら袋叩きにあったり、現場に深入りし過ぎて任意同行ですが警察に連れて行かれた経験もあり、現場のシミュレーションでは似たようなことあり、誘拐殺人犯を、警察車両を必死で呼び止めて窓を開けてもらって撮ったこともあり、リリー・フランキー演じる「チャラ源」は、かつて六本木界隈で接点のあった「タレコミ屋」を彷彿させます。何より、新人記者の二階堂ふみがよかったですね。

聞けば、大学、フライデーともに先輩の不肖・宮嶋茂樹さんが監修したようで、なるほどな、と。宮嶋さんは本人の役で出ていましたが、何か現場シーンでいちばん素人っぽい動きだったのは、「演技」に不慣れってことでしょうね。
実際、宮嶋さんが、現場であんなにヌケた動きをするはずがないですから。
さらにエンドロールを見ると、スチールに同じくフライデーの先輩、敏腕カメラマンの藤内さんの名が。
これはリアリティが出せるはずだわ。

今はデジタルで超高感度も自由自在、オートフォーカス、自動露出で新人記者でもシャッター押せば写る、しかも撮ってすぐにモニターで見られる。それと較べれば、我々世代が全手動のフィルムカメラでやってたことは、無形民俗文化財級の神業なのかも。

しかし……86年の「たけし事件」以前の写真週刊誌全盛期を経験した者としては、実売部数20万とか30万とか35万とかで大喜びする編集部のシーンは、なんかなぁ、と寂しく感じましたね。かつては毎週160万とか180万とか言ってて、一時は200万を窺う勢い、電車に乗っても同じ車両に数人は必ずフライデーを読んでる人がいましたから。たけし事件のあと、それが半減し、90年頃には、100万部の夢をもう一度、なんて言ってたものですが。そんな感想を持つこと自体、時代におくれてしまってるんでしょうね。

いまはスマホに喰われてるんですかね。

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